2008年7月22日

「風船」大仏次郎

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前回で「昭和三十年代主義」を取り上げたので、そのころの新聞小説だった「風船」(文庫版は昭和33年刊)を。
やはり浅羽氏の指摘があった、“機械と仕事”問題についても描かれています。
びっくりなのは、主人公の名前がなんと、「村上春樹」なんだよ。
その春樹氏いわく、
「世の中で成功するってことは、どうもいつの間にか自分が自分を忘れて踊らされることらしいんだね。真実の自分を自分が見失ってしまう。
それが自分のためでなく、世の中の人のために成っているものと思い込むのが、自分や世間への、弁解の言葉だ。」
とか、言ったりするんだ。
どちらにしても、大仏次郎には品格がある。エッセイの「猫のいる日々」なんて傑作ですよ。
たしか、再版されたと思いますが。
大仏次郎は、「鞍馬天狗」の作家です。といっても、今の人は知りませんよね。
画像は旧い岩波文庫版です。

付記 「猫のいる日々」は猫好きだったら、絶対、読むべし。(徳間文庫で絶版でしたが、他の出版社から復刊されたという記憶が)

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