2008年12月30日

「夢がしゃがんでいる」 村田朋泰

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今年最後の一冊は、
今年の四月~五月、平塚美術館で開催された村田朋泰さんの個展「夢がしゃがんでいる」の図録です。
ヴァリエテも編集協力しました。
展覧会は、アニメ作品の主人公と共にリアルタイムで展覧会場を移動しつつ、楽しめるという構成になっていました。
それはミニチュアから実物大への、夢と意識の濃密な旅行。大スペクタクルです。
日本はことさら暗い時代に入ってきたようにも感じられます。そんな時代の、人と人との繋がりの困難さ、生きにくさが、主人公に憑依しているかのようでした。
芸術家たちは、時として毒ガスの有無を調べるためのカナリヤのような役目をすることがあります。村田さんはそんな中、常に「青年」としての役割を果たしているように思えます。青いカナリアですね。
異端の巨匠などではなく、次世代の共感にしっかりと寄り添ってもいます。
したがって、村田世界の魅力を存分に語れる言葉が熟成するには、いましばらくの時間が必要でしょう。
多くのスタッフさん、ボランティアさんの力を統括しつつ切り開いていく独自の村田ワールドから、09年も目が離せません。


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