2010年1月17日

最新版SFガイドマップ(入門・歴史編) デイヴィッド・ウイングロープ編 安田均他訳

Sfガイド

「最新」とはいっても、これは1985年刊行のサンリオSF文庫ですから、四半世紀も前の「最新」です。世界に名だたる作家が、「いよいよタイプライターからワープロに変えたが・・」、みたいなことをエッセイに書いていたりします。

でも、そんなことはどうでもいい。当時のSF界の、熱い感じがひしひしと伝わってきます。部屋の片隅にまとめて結ばれていた文庫類を、年末に紐解いたのは良かったです。

結局、それからの25年で、変わったことは殆ど無いのです。本書の1章で、さまざまな作家が、これからSF作家になりたい人に向けてのアドバイスみたいなものを寄せています。その中では、アーシュラ・K=ル・グウィンの文章が読み甲斐がありました。べつにSF作家になりたいわけではありませんが、簡潔で心がこもっていたのです。

・・・それでもって、「闇の左手」を再読し始めたのですが、以前はまったく面白いと思わなかったのに、今回は、はまっています。作者は決して親切ではないし、たやすくイメージはできないけれど、頭の芯から人間についての思考を立ち上がらせてくれるSFとでもいいましょうか。

ひとつことつの紙片の四隅に建てられた円柱を、確かめつつ先に読み進んでいくような・・・。バーチャルではなくても、確かな別世界を持ち歩くことはできます。ネットゲームみたいに直接的に関するわけではないのですが、左手あたりに、確かにそれらが見えてきました。右手には別の世界を携えています。

もうひとつ、今年の冬はすごく冷えているので、より冷えている場所 (惑星「冬」)を垣間見たら、少しは我慢もできるだろうと思いました。いやはや、やはり選ぶ本も、季節に関係しているのでしょう。

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