2009年3月13日

回想のブライズヘッド

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訳者の小野寺健さんのお名前は、E・M・フォースター(1879〜1970)の小説の翻訳で知りました。
フォースターの作品「モーリス」「眺めのいい部屋」「ハワーズエンド」「日の名残り」などを、J・アイヴォリー監督が映画化しています。
文庫カバーの肖像画は、著者イーヴリン・ウォー(1903〜66)当人だそうですが、アイヴォリー映画の登場人物そのものです。
ストーリーも英国の上流階級、カントリーハウス、カレッジ、寮、美青年…など重なる部分が多々あります。
上巻の解説が懇切丁寧で、すでに読了したような気になってしまいます。下巻は上巻より一か月遅れて発売されましたが、なぜに上巻に解説を?映画の予告編のようです。
「アロイシアス」という名前のテディベアを持ち歩いている貴族の美青年セバスチアンは魅惑のキャラ。思うに少女漫画化にふさわしい。
佐々木倫子さん、ベテラン木原敏江さんあたり(「麻理と慎吾」タッチで)が、ストーリー漫画にしてはいかがでしょう。
ウォーの美意識は、ゴージャスなお屋敷、家具調度品、ファッションから装身具、著名文化人、お酒、おつまみからティータイムのメニューにまで、子細に及んでいます。
ブランド好き、古美術愛好者、美味しいモノ好きのヨダレを誘います。
蟹工船と真逆な世界に、我々は何を見たらよいのでしょう。とか言わないで、しばし現実を忘れ、いざブライズヘッドへ!小説の醍醐味がいっぱいです。(岩波文庫)。

 

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