2009年7月18日

「砂漠」 と 「終末のフール」 伊坂光太郎

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ぱッと時間が空くと、「伊坂幸太郎を読みたいなあ」、と思うことがあります。
でも、結局読まないで、本屋さんの新刊棚の前で他の本を眺めています。
伊坂幸太郎ファンなのですが、そんな私のベスト2が、
この「砂漠」と、「終末のフール」です。
最近、「砂漠」が新たな装いになっているのを新聞広告で知りました。
画像の単行本は、05.12/15発売の初版です。新しいパージョンのがアクが無くて今風ですね。
「終末のフール」も、最近、文庫化されました。
伊坂作品は数多く映画化されていますが、この二冊はまだです。

「砂漠」にしろ「終末・・・」にしろ、伊坂さんは群像を描き分けるのが上手いと思います。
初期の作品は、いろいろな(先輩作家とかの)影響が垣間見えたり、
作家自身の考えを登場人物に言わせたりしているような印象を受けて、
それはそれで初々しくていいのでしたが、「砂漠」は、そうではなかった。
やったね、と思いました。
まっとうな青春のスケッチで、春・夏・秋・冬と、章分けされているのもリアルで、
私などは、漱石の「三四郎」を思い出してしまう、まさに“青春小説”です。

若い時には還りたくない、“青春”とは赤っ恥の連続だからですが、
それなりの可愛げもあったりします。かったるかったりするし。
そんなムードを、特別な事件を勃発させるわけでもなく、
登場人物に添って、ずるずる?と、淡々と現しています。
そう、淡々としてるのが伊坂幸太郎のいいところです。

「終末のフール」はもう一度読みたい一冊です。
(在庫の単行本がちょっと見当たらないので画像は後日)。

この二作品は、映画化されない方がいいと思います。
まだギャラリーを始める前に読んでいた、伊坂作品は、
温かい遠い過去みたいです。

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