2009年9月29日

東川篤哉さんの本格ユーモアミステリー。

116 左「密室の鍵貸します」 右「ここに死体を捨てないでください!」

あと一日で九月も終わり。
な、ななんと、一ケ月もこの「本六の一冊」を更新していなかったのです。
最低、2本はアップしたいこの「一冊」。怪我したり、風邪ひいたりでちょっとぬかりました。

さてさて、先日、生まれて初めて、岡山に行ってきました。
そう、新幹線が嫌いなので、西方、京都の先からは絶対ヒコーキにしています。
初めて降りた岡山空港、JR岡山駅までリムジンバスで30分と便利。
そんなことはどうでもいいですね。岡山旅日記は「モーニンとイブニン」で改めて記します。
でも、とにかく、もう本当にひさびさに、愉しい出張でした。

その岡山に持参した本が、東川篤哉の「密室の鍵かします」です。
そう、作者の東川氏は広島生まれ、ご当地、岡山大学法学部卒です。
だからなんだってんだ、というあなた、沖縄に行くときにアロハシャツを持って行ったりしませんか。
えっ、持って行かない?  私だけだったのか。
じゃなくって、私の言いたいのは、その地をより深く知りたいのなら、なにかしらの赤い糸を手繰ってみようよ、ということです。
尾道だったらトーゼン大林監督ですよね。で、岡山だったらダンゼン東川篤哉です。

 と書きましたが、私の思い込みでして、東川さんは広島県の尾道生まれと分かりました。訂正・・・尾道だったらトーゼン大林監督、&東川篤哉ですね。おまけに岡山の大学出身でおられるそうですから、テリトリーには入っていて、周辺の雰囲気がふくまれているはずです。

しかし、
残念なことに書店の文庫の棚では、「ひ」の棚、東野圭吾の前に「東川」を見ることは殆ど皆無に等しいです。岡山でもそうみたい。むむ…。

 と書きましたが、うれしいことに、最近、都内の大型書店は、彼の本(光文社文庫)をそろえだしました。奥付けは初版のまま。ということは新刊(「ここに死体を・・・」)が評価されてるのかも。どちらにしても嬉しいです。どんどん、可笑しくなってる一方だから。

さて、東川篤哉の登場人物たち、ちょっと非常識、薄ぼんやり、
なのに、想像を絶する妄想で、事件を解決したりしてしまうんです。

たとえば、私はユーモア・笑いには、ほぼ3種あると思っています。
パロディ+イノセンスだったら赤瀬川さん。
機知+イロニーだったら穂村さん、
ユルさ+ナンセンスは、東川さんだと思いますね。その上、ジャンルが本格ミステリーだってことに驚きだ!
有栖川有栖さんも指摘していますが、こういうジャンル実はとても難しいと思います。労力に見合う評価を得にくかったりする。東川氏のチャレンジ精神ゆえの力技です。
本格お笑いミステリー作家・東川篤哉は、やはり温暖で遠方に連峰を見渡せる、ひろびろとした瀬戸内という土地柄ゆえの賜物だと私は思うんです。
岡山の人たちは優しく親切でした。アート好きで、サービスが当たり前なのも東川チック。
実際に訪れてみて、つくづくと感じたことでした。

 

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