2008年8月2日

棋士の羽生善治さんは、対局の前の瞑想で、「玲瓏」という言葉を思い浮かべるという。
ふぅむ。言葉の威力というべきか。
私は風景画を好むものだが、フリードリヒの風景はいつも「玲瓏」している。
蒸し暑い夏はフリードリヒに限るのだ。
《オークの森の修道院》や墓場の絵ばかり取り上げられているので、
すっかり「廃墟」の画家のイメージに塗り固められていたが、
この本にある異なる視点から、もっとミステリアスな画家の横顔を知ることができた。
もっとも、バルチュスにせよ、フェルメールにせよ(うちの窓にせよ)、
窓からの眺めは、いつもミステリアスな愉しみに満ちているのではあるが。