2008年12月17日

「草祭」 恒川光太郎

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この辺で、好きな作家さんの小説をとりあげたいです。
三年前、荒俣宏をして、泣けるホラーと言わしめた『夜市』から4冊目。恒川光太郎さんの新刊です。

装丁は、1冊ごとにソフィストケートされていって、4作目にして極みに立った感じです。
つまり、恒川さんの世界に流れている時間軸を、具体的に描いたイラストが今回は適格にあらわしているようなのです。
今までの装丁に不満があったのが、一挙に解消しました。

「S・キングを凌ぐ幻想美」と帯文に書かれてありますが、
「天化の宿」「朝の朧町」の二篇にはたしかにそんな感じも漂っています。
でもアメリカ文学というより、
むしろ、日本の、佐藤春夫を複雑に、しつこくしたみたいな感じを受けます。
…ということは、谷崎潤一郎賞受賞もあるのではないでしょうか。
冬の夜長に愉しめる一冊です。
「天化の宿」が印象に強く残りました。

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