「 金色機械 」 恒川光太郎
「金色機械」
恒川光太郎
2013 10月刊 文藝春秋
「雷の季節の終わりに」に次ぐ、著者第2冊目の長編小説です。
テレビで、遠い国・ボリビアにある広大な塩原、ウユニ塩湖の風景を観ました。
とてつもなく広い、何もない白い塩原。
<記憶は積み重なっているものではなく、平行に存在している>というようなことを
読んだことがあります。
記憶野、それはウユニ塩原の風景と重なります。
恒川光太郎の新刊長編小説「金色機械」は、
時間軸が縦ではなく横、平行にストーリーが展開していきます。
物語は、水紋のように広がっていくのです。
恒川さんが、こうして語るよりほかなかった物語。
タイトルロールの「金色」様が何を意味するのか、何?ということではなく、
「金色」様の存在、それ自体が世界観だと思いました。
「未来は過去にある」、とだれかが言っていました。
「金色機械」は、<時代小説>という枠組みだけではくくられない面白さがたくさんあります。
謎めいた鍵を、たくさん見つけられそうな気配がします。
なにかが発生するための閾値、
そのかすかな振動にふだん使っている頭が共振しながら、
小説の世界で生きるものたちの必死な振る舞いを、
一歩離れたところで読むことができる愉しみ。
…それが小説を読むだいご味だと、
「金色機械」で改めて思ったりしました。
*恒川光太郎ファンとして、まずはとりあえずメモした次第です。
もちろん、遥香と金色様の<他の物語>、読みたいです!
C-3POを、つい思い出してしまった人も多いのではないか、と思います。