2013年10月28日

「 金色機械 」   恒川光太郎

 

 

 

金色機械005 

 

 

 

     「金色機械」  

  

      恒川光太郎

 

 

 

      2013 10月刊  文藝春秋

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷の季節の終わりに」に次ぐ、著者第2冊目の長編小説です。

 

 

 

テレビで、遠い国・ボリビアにある広大な塩原、ウユニ塩湖の風景を観ました。

とてつもなく広い、何もない白い塩原。 

<記憶は積み重なっているものではなく、平行に存在している>というようなことを

読んだことがあります。

記憶野、それはウユニ塩原の風景と重なります。

  

恒川光太郎の新刊長編小説「金色機械」は、

時間軸が縦ではなく横、平行にストーリーが展開していきます。

物語は、水紋のように広がっていくのです。

恒川さんが、こうして語るよりほかなかった物語。 

 

 

タイトルロールの「金色」様が何を意味するのか、何?ということではなく、

「金色」様の存在、それ自体が世界観だと思いました。 

 

「未来は過去にある」、とだれかが言っていました。

「金色機械」は、<時代小説>という枠組みだけではくくられない面白さがたくさんあります。

 謎めいた鍵を、たくさん見つけられそうな気配がします。 

 

 

なにかが発生するための閾値、

そのかすかな振動にふだん使っている頭が共振しながら、

小説の世界で生きるものたちの必死な振る舞いを、

一歩離れたところで読むことができる愉しみ。

 

 …それが小説を読むだいご味だと、

 「金色機械」で改めて思ったりしました。

 

 

 *恒川光太郎ファンとして、まずはとりあえずメモした次第です。

    もちろん、遥香と金色様の<他の物語>、読みたいです!

     C-3POを、つい思い出してしまった人も多いのではないか、と思います。



   


 

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