2008年12月19日

「未見坂」 堀江敏幸

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堀江敏幸さんの最新小説集。
名作「雪沼とその周辺」に連なる短編集である。
大きなドラマは一切ない。
むしろ退屈な物語に思えるかもしれない。
暮らしの中の瑣末な動作、人と人とのまともで、そして大切な対話、小さなミステリーの波紋。
いつものように長いセンテンスの中にさまざまな人間模様が見え隠れする。
不安と焦りと悔いとが交錯する人生の、
小さなスケッチ怗みたいだ。

生きていくということは、本当にぎこちなく、いつまでも慣れない事実の、積み重ねなのだと思った。


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