2012年1月13日
柳 宗悦 「南無阿弥陀仏」
民藝運動の泰斗、柳宗悦の仏教入門書。
民藝運動の思想的背景、美意識の頂点を明らかにしたものとして注目された人気を得た、晩年の一冊です。
優れた民藝品を、人々のこみあう「市」で収集するには、つねに「直観」を研ぎ澄まさねばなりません。
そうした、「直観」重視の根底にある、「美しさ」の価値基準を柳宗悦は仏教思想の中に求めました。
〈浄土門〉である、法然–親鸞–一遍の三人を一人格としてとらえようとした柳宗悦は、また他力門、自力門と、二つに分けないところに、真実を見ようとしたようです。
平明に書かれたお薦めの一冊です。
あくまでも読みやすさを意識した著者により、仏像写真、棟方志功の版画など口絵を多数掲載しています。