☆巻末特別付録☆ 【 尾辻克彦 bot 】 中野昭子*選 -

「尾辻克彦の研究読本 ガリバーの虫眼鏡」収録インタビュー「お答えします」より

 

現代人が現代を見るということは、結局、自分で自分を観るということなんですね。
他人を観るのはやさしいんですけど、自分で自分を見るというのは凄く難しい。p206

 

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千葉市美術館 「赤瀬川原平の芸術原論展」            最終日の夜

古代を観察することっていうのは、当然ながら現代人にとっては冷静になれる、
というより冷静になるほかはないわけですよね。
もうすんでしまった過去のことというか、しかも、他人というか。
でそうではなくて現代人を観るっていうことは、まさにこれはもう、
私小説をいかにキチンと書いていくかということになるわけです。P207

 

それから宇宙論なんていうのも、この宇宙の中に住みついていながら、
なお外側から観たこの宇宙の実体を捉まえなければならないですよね。
これなんかまさに私小説の原点て言えると思いますね。
その場合、自分がちゃんとした材料になっていないとダメなんでしょうね。心情の吐露ではどうしようもない。
人間関係と宇宙の、天体の関係は非常に似てるんですよね。くっついたり、離れたり、とか(笑)P208

 

……結局、自分は、自分というのが一番不思議だなあ、と思うんですね。
子どもの頃に、なんで自分がここに居るのかなって。p209

 

人間ていうのは、もたれ合いながら立っている一方の存在だという風に、思いますね。ケンカしてナンダカンダあるけど、裁判ということでいうと、相手があるから、二重性の片一方という、(笑)そういう感じですね。p211

 

男女の魅力って、互いの要素を少しずつ持ってることなんじゃないですかね。p210

 

  「尾辻克彦の研究読本 ガリバーの虫眼鏡」1989年北宋社刊  インタビュー聞き手:髙橋丁未子)

 

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