野田地図 NODA・MAP 「南へ」を観ました。 {ホットケーキ30個目}

2011年3月19日

 
毎年、誕生日にはちょっと贅沢な何かを、自分にプレゼントしているのですが、今年はすでに、「野田地図NODA・MAP」のチケットを買っていました。抽選に外れないように、ウィークデイの夜のチケットでした。

そして昨夜(17日)、電力不足で突然大停電になるかもしれないというニュースを夕方に聞いたのですが、何とかなるだろうと、東京芸術劇場へ出かけました。

 

かつて野田さんが率いていた「夢の遊眠社」を観たのは、野田さんがまだ東大6,年生の時、駒場小劇場でした。芝居というものが面白いものだと私が知ったのは、「夢の遊眠社」でした。

 

今回の公演「南へ」は、火山観測所のお話・・・、とはいえ、やはり一筋縄ではいきません。火山の爆発を「待っている」人たち・・・観光業に携わる地元民、イタコ? マスコミ報道陣、火山学者、オオカミ少年、北の人、怪しい夫婦、天皇制、サンカ、修験者、いろいろ登場します。三部作の最終作ということですが、前作の「ザ・キャラクター」よりずっとシンプルで日本回帰的。野田流身体言語よりも、ガツンとした構造が目立つような印象で、いい意味で野田芝居を一歩も出ておらず、普遍性があり、私にはとてもわかりやすかったです。妻夫木聡も蒼井優も好演でした。

 

しかしながら、時が時だけに、緊張をして観たことは確かです。

今回は開演の前に、かなり長い時間をとって野田さんのコメントが流れました。

被災者の方へのお見舞いから始まり、地震発生で公演を数回中止せねばならなかった悔しさ、余震や停電のリスクりがあるにもかかわらず足を運んできた観客への感謝、また今回の内容がしばしば{現実}と重なりすぎ、不快な印象を持つ人もいるかもしれないが、最後まで見てほしい、そうすればわかるはず、という言葉は、時が時だけに、そこにいる人たちすべてに胸に来るものがあったのではないでしょうか。場内シーンとしてしまいました。開演前に、伝えなくてはならない言葉があるという、特別なものだったのです。

 

ろうそく一本あれば芝居は成立すると思っていたが、そのろうそくを「危険」とされてしまう、そのことの危険にも触れられていました。芸術は自己規制してはならない、ということなのだと、私は受け取りました。

今月いっぱい、やっています。当日券もまだあるようです。興味のある方、ぜひ観に行かれたらと思います。

 

南へ 
 
 
 他にもいろいろあるのですが、マジカルな体験をした一夜となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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