「 川の光2 」 連載終了でさびしいイブニン。 [モーニンとイブニン©]

2012年10月30日

 

モーニン  久しぶりに登場したと思ったら、イブニン、もしかして涙している? 

 

イブニン  ううっ、ぐすくす。松浦寿輝さんの「川の光2」の連載がとうとうおわっちっゃたから。

 

モーニン  そうかぁ。そうだね。感動的だったよね。最後までサービスしてくれた。この先の別のお話もあることを、暗示させて終わった。(東大、退官されたし。)

 

イブニン  ぼくらのように、小さな町に生息している哺乳類、ちいさな動物たちにとって、「川の光2」も、「川の光」も、まさに「指輪物語」に匹敵する壮大なドラマだった。

終わりが来るとは思ってたけど、今朝の新聞開いても、、やっぱりなかったな。ホタルノヒカリとなって、消えていた。

 

モーニン  まだ載ってたらタイヘンだ。Y新聞は誤報道もあったしね。賞ももらったけど。

 

イブニン  今朝は吉田修一さんだった。 

 

モーニン  いいじゃない。あの方の小説、好きですが。「キャンセルされた町の案内」は宮本輝の短編集みたいな雰囲気でした。

 

イブニン  でも、哺乳類は出てこない。

 

モーニン  人間が主体だから、全編、哺乳類のドラマだよ。動物もでてく.るかも。

 

イブニン  あっと、それがのっけから出てきたんだ。 でも、言葉を話さないよ。

 

モーニン  うん、当前でしょうが。だって「川の光」ってさ、動物の姿を借りて、語る、人生のすばらしさ。

 

イブニン  じゃないんだよな、モーニン。擬人化じやない。そういう風にとって擬人化だから嫌い、安易という人もいるけど、そうじゃないよ。人生でない。そんなことしたら動物に悪い。

今、この場所から、どれほど遠くく離れていても、見える世界はあるんだ。かといって、近くてもまったく見えないものもある。そういう、世界の伸び縮みを修正してくれて、新たな世界の存在をしっかりと見せてくれて、その可能性を、示す力が、こうした作品の素敵なところだと思う。゜

 

モーニン うーんと、シンプルに言って、イブニンの言いたいテーマはなんなのかな? 

 

イブニン  ふん。頭が硬い人はテーマがわかんないと嫌なんだね。小説はハウツウじゃないから、それぞれの人が持っている鏡にしか、テーマは映らないさ。

この「川の光」に満ちている魅力は、それはね、たとえば、保坂和志さんの小説のタイトル借りちゃうけど、<生きる歓び>なんだとわしは思う。

 

モーニン  と、「わし」なんて、急にいわないでください。

 

イブニン  いや、ちょっと実のありそうなことを語りたいときは、後期高齢者っぽい方が説得力が。

 

モーニン  誰にも説得されないわたしだよ。てか、あんたの姿は誰にも見えないし。

 

イブニン  見えないから「わし」と言いたいときもあるぼくさ。

 

モーニン  ・・・・・

 

イブニン  あ、はいはい。あの。話を戻すとね。あのね。亡くなったきよ(猫)姉さん、やっぱ最後まで生きることが希望だったんだよね。猫に学べたんだ。ぼくは○○だけど。

 

モーニン  ふむふむ.

 

イブニン  なんつーか、「川の光」は生きていくことのメタファーであり、パラダイスであり、ドラマであり、哲学であった。ぼくにとってね。

 

モーニン  ちょっと言葉、混じらせて、ごまかし風?

 

イブニン  では。

 ♪ あぁあ、川の流れの~♪  ここまでだったら著作権料不要。

 

モーニン  わたし、納得しますかも。歌で説得はしてない。へた過ぎ。

そうだよね。思い返せは、400日余り。イブニン、毎朝のように、楽しみに読んでたね。新聞の10頁だけは。

 

イブニン  なんか、毎朝、開くたびに、「今日の勇気!」みたいな感じ。

ちっこいやつらさえ、こんなに頑張ってんだから、ぼくも弱音をはかないように、やっていこうと。

 

モーニン  お話の中だけどね。

 

イブニン  それのどこが悪い!!

 

モーニン  いきなり、コーフンしないで。つばとんだよ、

 

イブニン  失敬。

お話、つまりはつくりもの。でもフィクションの中にこそ、リアルがあったりするんです。

小説家のことばは練られているの。ぼくにはそれが見えて必要なのっ。

 

モーニン  それくらいはわかる。長年、コンビ組んでるんだからね。

 

イブニン  六年もね。コホン。

今の今と近未来をそのままじっくり描写しているお話がいやといってるわけじゃない。中村文則さんの「迷宮」なんて、身震いするほど怖い。ぼくにはまだ早すぎだけど、リアルがあった。<自分のことを書かれているようで、たぶん他の人もそう思う人が多いに違いない、大好き・・云々的な書評を読んだけど、なおさら超怖くなっちゃった・・・。「掏摸」「王国」「迷宮」ときて、スタイリッシュで。ぼくなんかは板木司さんの「大東の彼女」なんかにリアルを感じたけど。

とにかく、「川の光2」、まだまだ感動さめやらず、もう読めないのがさびしくて、うまく言葉にならないけど、これから「川の光 外伝」未読なんで、単行本で出るまでは、そっち読みます~。

 

モーニン  そして、読んでる私たちの「川の光」を見つけなきゃいけないんだね。

 

イブニン  僕らの生命力。  

 

モーニン  そうですね。きっと。

私は恒川光太郎さんの「金色機械」の次号が待ち遠しい。長い長い物語だ。果てしのない、時間の交錯があるように思う。期待しちゃ{います。

しかし、なあ、「別冊文藝春秋」、定価780円くらいにしてほしいね。(定価1500円)小説は庶民のものだし、せめてかよわい私にも持ち歩ける厚さにして~。図書館に入ってるのかな。でも、本は買いたい方だからな。

 

イブニン  そう、本屋だもんな。おれたち。

 

モーニン  「おれ」かい! んもう、「わし」だったり、「おれ」だったり。男子はいろいろあっていいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

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