内田あぐり・谷川渥・安達史人 記念トークセッション
内田あぐり展のイベント、本日のトークセッションは、
内田あぐりさんの素描の魅力について、
ほんの少しの時間でしたが、谷川渥さん、安達史人さん、
お三人それぞれの興味深いお話を聞くことができました。
ありがとうございました。
いらしたみなさん、熱心に耳を傾けられていました。
もっと聞きたいという方が多かったです。
椅子にお座りになれない方々、入れない方もいらしたようで、誠に申しわけありませんでした。
今週も、11/11木~11/15日、
(12~17PM最終日~17pm)開催しています。
この機会に、ぜひ、内田さんのダイナミックな展示をぜひご覧ください。
会場では素描集「内田あぐり ドローイング」、オリジナルグッズも販売しています。
谷川渥さん、安達史人さんの著作本、そして雑誌「游魚」も会期中、展示販売しておりますので、お手に取ってください。
みなさまのお越しをお待ちしています!
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トークセッション ルポ (中野昭子)
安達史人氏は雑誌「游魚」発行人で、もと「武蔵野美術」編集主幹。
谷川渥氏は美学者で、京都精華大学客員教授。
そして教授にして気鋭の日本画家である内田氏という豪華な三者のセッションとなれば、
彩り豊かで充実したトークが期待できるというもの。
当日はたくさんの人が集まり、立ち見が出るほどの盛況となりました。
安達氏の丁寧な司会で静かに始まったセッションは、
谷川氏が最近意識しているトピック「線と色彩」で冒頭から白熱。
}アリストテレスからダ・ヴィンチ、ゲーテやカントに至るまで、
西洋絵画は線を描いてから色を塗るものであり、
線描が根源で色彩は後にくるものだという谷川氏のお話に、
内田氏は「私は線の後に色を塗るのではなく、同時進行で行う」とコメント。
そうであれば、内田氏の絵の中では、色彩は添え物ではなく、
線との質的差異はないということになります。
展示されている絵を見ると、確かに色は対象を特徴づけるにとどまらず、
存在感と重量感を支える役割を担っているように思われました。
日本画が扱うモチーフは花鳥風月などが多く、
人が描かれている場合でもモデルが誰なのか分からず、
肉体も特徴もないものがほとんどです。
一方で内田氏の描く人間は、描かれているのがどんな人物なのか、
ありありと伝わってくるほどに個性を備えています。
著書の「内田あぐり ドローイング」(青幻舎)の中で、
内田氏は、『モデルを観ることは、同時に相手の肉体からも全身全霊で見られていること』
だとおっしゃっています。
制作がモデルとの一期一会の衝突、
真剣勝負のぶつかり合いを経ているのだとすれば、
出来上がった絵は、モデルがその時備えている肉体のすべてを掌握しているのでしょう。
そして内田氏は、今後は人間だけではなく、
日本の風景などを水彩や素描で書いていきたいという目標をおっしゃり、
トークは幕を閉じました。
あの力強い線と色彩の世界が、今後どのような形に変化していくのか。とても楽しみですね。