朝、起きたら、洗面器の中にコガネムシがいた。
前夜、部屋の中を飛び回った末、
照明器具の端に静かに留まったコガネムシに違いなかった。
水が欲しかったのだろうか。
洗面器を揺すると、
忙しそうに泳ぎだす、コガネムシ。
死んだふりして? 固まるコガネムシ。
眺めた末に、茫々の庭の
水場のあたりに水ごと放した。
その後の行方は?
・・・・・・・
朝のゴミが収集され、ゴミ箱を片付ける。
残っている落ち葉の中で何かが跳ねている。
あ、トカゲ。
底にへばりついて不動のトカゲ。
ゴミ箱を斜めに傾けたら、
ピョーっと勢いよく、外に出てきました。
ふたたび、 地面で不動。様子をうかがっているトカゲ。
少しずつ移動して、壁の隙間に消えていった。
ここから先、追跡不能。
バイバイ、元気でね。
もうひとつ。
玄関に置かれたスチロール箱についていた抜け殻。
私の目の前を
ささっと、飛んで去って行った蝉。
命を元気に燃やしに出発したんだ。
・・・・・・
公園に行ったら、木と話している人がいた。
自由自在の夏。
今日この時にしか、会えない生きもの、息遣い。
あちらもこちらも一期一会。