未知との遭遇・・・公募展の愉しみ  [ホットケーキ77]

2013年2月26日

 

絵を見るということはものすごく大変なエネルギーが要ることだと、

以前、赤瀬川原平さんがおっしゃっていました。

展覧会を見に行くと、時々その言葉を思い出します。

なんらかの理由で選ばれ、展示される作品は、

それぞれの作家のとびきりのエネルギーがこめられているわけだから、

それをうけとめる側にも、ものすごい力が必要。

また、それに関してなにかコメントを表すとしたら、また違う力も必要です。

そんな力と力の勝負の場が公募展。

そして、土俵際のふんばり、そのふんばりが垣間見えたりすると、公募展はより楽しいものになります。

 

 

オリガ008

 

本六の企画展や常設展でもおなじみの近藤オリガさんが、

第1回 「損保ジャパン美術賞」展 2013 で、

みごと「グランプリ」に次ぐ「優秀賞」(3名受賞)を

受賞されたので、拝見してきました。

 

タイトルは「思いに耽る少年」。

今回も、オリガさん独特の、

モチーフの背後におかれている空気感が素晴らしく、

少年の表情と、その後ろの「最後の晩餐」を思わせる泰西名画的断片が、

ふしぎでみごとな調和を見せています。

 

 

オリガさんの絵を見る時、<あれ、なんだろうか?>  という思いが、一番先にやってきます。

そして、なんとか言葉で表そうとしても、とうてい表すことができない風景を、オリガさんは描き続けています。

 

あんまりなじみがないように感じるのは、キリスト教的世界観がもたらすものだからなのかもしれません。

が、そういうことはともかく、近藤オリガさんの技と思想、オリジナリティがすごいのでしょう。

 

いかほど汲んでも尽きない水脈が、古今東西、自由に交差して貫かれているに間違いありません。

悩ましく美しく、ミステリアスな空気感が、観ている者に、なにものかを放射し続けています。

 

 

図録012

 

 

 

 損保ジャパン美術賞は<公募コンクール>。

 選出された作品は、

 性別・年齢などにとらわれず同等に審査です。

 

 今回の美術展の図録の見開きページに、

 まったく異なる魅力の作品が、

 並んで掲載されていています。

 そんな自由さも、公募コンクールの魅力にあります。

 

 

 

  (右の作品は、やはり優秀賞を受賞された、田中千智さんの「未知の森」です。

 眺めていると、森に迷い込んだ女性が、モザイク仕立てのような古い館の中で、

 物思いにふける少年に出会うといったような、ストーリーまで浮かんできそうです。)

 

  観覧者投票による、「オーディエンス賞」も選ばれるのだそうです。そういうの、ちょっとワクワクしませんか?

 <人気投票>は、手に入れたい! という欲求と馴染むのでしょうか。

 としたら画商さんにはとても興味深いに違いない。

 

 

 

第1回 「損保ジャパン美術賞」展 2013は、損保ジャパン東郷青児美術館で3/31(日)まで開催中。

 

オリガさんの作品は、本六に常設しています。こちらにもどうぞ見にいらしてください。

 

近藤オリガさんのHP   http://ycondo.jimdo.com/

 

 

 

 

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