不忍ブックストリート一箱古本市で「古書ほうろう賞」をいただき、それだけでもうれしいのに、副賞として、一か月余り、ほうろうさん店内に「ヴァリエテのおもちゃ箱」を、置いていただきました。
おかげさまで、今までは千駄木界隈に出向くのは年数回でしたが、この二カ月間に、なんと7回も行けたのです。
本六からほうろうさんまで言問通りを下って根津から地下鉄一駅乗ってたりしましたが、今は徒歩です。
これは偉大な、意外な一歩でした。近い近いよ、気軽に行ける谷根千です。
そして、ほうろうさんは、地域の本屋さんの素晴らしいところを最大限に生かしておられる、楽しくてためになるいいお店です。通い続けたい古本屋さん。ありがとうございました。またよろしく。
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箱を引き上げた最終日、ほうろうさんでは出版社「港の人」フェアをやってました。
拝見しているうちに欲しくなって購入したのは、加島祥造さん訳のエドガー・アラン・ポーの名作「大鴉」です。
収録エッセイによると、加島祥造さんは、早稲田大学在学中、日夏耿之助の教室で学ばれたというのです。
勤めていた出版社で日夏先生の「吸血妖魅考」という本を出していました。
日夏先生、ゴシックロマン派ですね。
そして、ポーといえば「怪奇小説」ですが、ロマン派の重鎮です。
この「大鴉」は当時のご婦人たちに大人気だったとか。たしかに読みやすく、わかりやすくもありました。
これは名訳のおかげですね。そして「港の人」の、丁寧な本つくりもありますね。
シンプルで上品で、瑞々しくもある装丁はもちろんのこと、本文中の目次、そして字の大きさ(四種類ありますが)、非常に読みやすいのです。
こんなにきれいな作りなのに、電車の中でも、部屋の中でも、寝転がっても、安心しておしみなく読めるのです。
これは相当の力量ゆえです。満足度120%の単行本でした。
さて、加島さんがこの訳を手掛けておられたとき、隣室に雀が迷い込んできたというエピソードが書かれています。
「これはユングのいうシンクロニシティ(共時性)だと私は感じた。」
「アメリカの冬の夜中に青年を訪れた大鴉を考えていた私を小雀が訪れた・・・」
加島さんは、おかしさを覚えつつ、ガラス戸の外に雀を逃がしたのでした。
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なるほど、そういうことでしたら、私もここでぜひ、ある体験を述べたい。
実は、この「大鴉」を買った数日後から、私の周辺にもそれらしいものがつきまとったのですよ。
シンクロニシティらしいものが・・。
・まず、きよちゃん(雌猫推定14歳)の通院の途中、自然緑地前の道路で、カラスの哀れな亡骸を目撃。きゃあ。かっからすが、ぺちゃんこ~。
・翌朝、駅への道、いつも渡る川の川面に、大鴉ではないけれど大きな黒い鳥が佇んでいるのを目撃。
なんでここに? (右下画像をご覧ください。不気味な姿?の証拠写真です)
・翌々日、東大農学部構内で学食に向かう途中、カラスの黒い羽根が落ちているのを二か所(都合二枚羽)で発見。
はてさて、羽の落し物?。襲撃か?
以上、三話、大鴉奇譚的、私の目撃情報です。
これもシンクロニシティに入れてもらえるのでしょうか。
これこそ現代に甦る、ゴシックロマンなのではないでしょうか。
ダメですか。