WONDERFUL WORLD の小さなメダル–山本淳平展–   [ホットケーキ57]

2012年4月18日

 

本六でも、常設時に作品を展示している、 愛知県在住の   004

陶芸家 山本淳平さんの個展に行ってきました。

タイトルは「WONDERFUL  WORLD」。

 

山本さんは第14回新生堂うわむき賞を受賞されました。

新生堂地下の広いスペースの壁面に、

たくさんのレリーフ作品、立体作品が展示されていました。

 

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タイトルの「WONDERFUL WORLD」と  、

手放しでなかなか言えなくなってきた現在ですが、ここには確かにありました。

 

夜の風景の作品が多いのですが、゛土の温かみ゛の中には、

金属のメダルなどがあちこちに埋め込まれ、散りばめられています。

それは川や星空を表した、ガラスの鮮やかな青とは対照的で鈍い光を放っています。

 

どこかにある場所、その土地で、

人や動物たちはまどろんでいたり、佇んでいたり、

空を見上げていたり、膝を組んで静かに座っていたりしています。

かれらの存在はとてもとても小さいのですが、

それぞれが作家に愛されていることが、伝わってきます。

主張はしないのに、とても満ち足りた表情です。

 

見ているといつしか、私までその異国に迷い込んでいってしまうようです。

そこがとっても、WONDERFUL !  なのでした。

 

同じタイトルの名曲を、ルイ・アームストロングが歌っています。

 ゛素晴らしい世界゛に感動し、それに気づかない人の哀しみも歌っているような気がします。

「ニュー シネマ パラダイス」というイタリアの映画がありますが、

この曲を聴くと、あの映画の最後に流れるシーンを連想してしまうのです。

すてきなラブシーンは、すべて過去の映画のつなぎ合わせでした。

なぜ感動して涙が流れてしまうのか。

この「パラダイス」も、「WONDERFULL  WORLD」 なのでしょうか。

 

悲しみ、独特なこと、または奇想、つらい現実やトレンドを映したりするのは、

人の興味を惹きやすく、面白いものです。

 

しかし、ここに展示されていた、すべてが微笑みに包まれている、WONDERFULL  WORLD こそ、

胸にいつも置いておきたい「パラダイス」だ、と思ったものでした。

メダルの輝きは、誰も気づかないひっそりとした喜びのように見えてきました。

 

パラダイスの王者、気品に満ちたライオンのレリーフに手を振って、

にこにこと、笑い顔で帰ってきた個展でした。

 

山本淳平展  ~4/26(木)まで。 新生堂 (南青山5丁目) 03-3498-8383  http://shinseido.com/

山本淳平~空想旅行記~ http://kuusou8.exblog.jp/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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